よんだほん

本の内容をすぐ忘れちゃうので、記録しておくところです。アフィリエイトやってません。念のため。

不動産リノベーションの企画術

不動産リノベーションの企画術

不動産リノベーションの企画術

 先回と同じく、リノベーションまちづくりについて、より具体的なプロジェクトの企画手法(金銭的なものを含めて)を知りたいと思い読んだ本。本来は建築関係の方が読むものかもしれない。それでも僕のような建築の素人でも非常にわかりやすく、確かにと思わせる内容が多かった。
 
 リノベーションの大きなメリットは「古い建物がこれまでに蓄積してきたストーリー的価値を活かし、現代にあった形にアップデートできる」ことだと思っていた(実際にそれは間違いではないのだけれど)。ただ、法規的にもメリット部分があるというのは発見だった。具体的には、現在の法律で建て替えようとすると、高さ制限や、容積率の関係で不利な条件にコンバートしなければならないことがありうるのだが、特に用途変更を伴わないリノベーションならば、既存の構造を最大限活かすことができるという点。

 そして、やはりこの本でも語られているのは、どのようなターゲット(ペルソナ)を設定し、どのようなコンテンツを入れるか。そして、どのような部分に尖ったアイディアを入れるか。リノベーションの場合、なるべく改装費を安くすませたいという性質上、広告宣伝費にかけられる余力がない。そこで、ターゲットをしっかり設定しないと、客に物件を見つけてもらえないという側面もあるようだ。ただし、その代わり唯一無二といっていいような、オーダーメイド的な素敵な物件が市場に供給される。

 一方いわゆる分譲マンションは、ただただ画一的な部屋をむやみに市場に供給しているようにしか思えない。画一的な部屋だからすぐ飽きる。不動産界における大量生産大量消費でしかないと感じた。よりオーダーメード的な不動産が、よりまちに賑わいを生み出すのだと思う。

 ただ、この「ターゲット(ペルソナor人物像)の設定」が、何をもってその設定に至ることができるのかが、まだあまり実感を持って理解できなかった。全くの妄想ペルソナにならないようなコツはどこにあるのか。立地等の市場調査によって、設定できうるものなのでしょうか?

 しかしだれか豊田R不動産やってくれないかなー。名古屋R不動産でも可。

リノベーションまちづくり 不動産事業でまちを再生する方法

リノベーションまちづくり 不動産事業でまちを再生する方法

リノベーションまちづくり 不動産事業でまちを再生する方法

 公民連携やリノベーションによるまちづくりの第1人者によるテキストブック。リノベーションまちづくりにおける攻めどころや、手法などがこれまでの経験等に照らして具体的に語られている。これまで公民連携や、まちやどと言った研修に参加して触れてきたけれど、具体的手法について知る機会がなかったので、より現実味を持ってイメージすることができた。

特に、リノベーションまちづくりにおける内容で、記憶に残った手法などは以下のとおり。
①疲弊した地域には、家賃が大きく下がったエリア「家賃断層」があり、そこがリノベーションしてコンテンツを入れる狙い目の場所。
②市場に出されている物件だけでなく、エリア内の全ての不動産を把握することが重要。
 →そのためにも、フィールドワーク(まち歩き)は必須
 →そもそも弊社は、空き家情報や家賃情報は把握してるんでしょうか?
③まちはヒューマンスケールで考える
 →やっぱり自動車が主役のまちづくりは、健全じゃない。

それ以外に、おそらくリノベーションだけでなく、全てのまちづくりプロジェクトに共通する事項として・・・
①ヒューマンリレーションづくり
 信頼できるチームづくりを行うためには、プロセスをできるだけオープンにして、乗り降り自由にすること。
 出入り自由、参加自由。抜けたい人は自由に抜けられる。コアとなるプロジェクトやメンバーが固まると、それに賛同する者、共感するものが集まってくる。
 →既存のまちづくりは形や組織やポストにとらわれすぎだと本当に思う。
②「そもそも公共施設は、公共は所有し運営するべきものなのか?」
 公共施設はただたんに、統合・縮小すればいいってもんじゃない。
 単なるコストダウンでは、不十分。どう活かすのか?

最後に「敷地に価値なしエリアに価値あり!」

公共R不動産のプロジェクトスタディ: 公民連携のしくみとデザイン

公共R不動産のプロジェクトスタディ:  公民連携のしくみとデザイン

公共R不動産のプロジェクトスタディ: 公民連携のしくみとデザイン

 公共空間の情報を集めて官民をマッチングする公共R不動産 | 公共空間をオープンに。「パブリック」をアップデートするメディアの本。

 全編を通じてとにかくワクワクする取組やアイディアばかり。これらの華やかな取組の裏には、プロジェクトを動かす人々の汗と苦労が染み込んでいるとはいえ、こういった取組は全国で広まってほしい。人のいない公共空間はもはや公共空間である必要がないと思う。空間の生産性を高めないと。

 総じてこのような本で好事例として取り上げられるものは、デザイン性が高く、オシャレだと感じる。行ってみたいと思わされるし、行ったらきっと何か買ってしまうと思う。行政が主導したらこうはならなくて、きっと全ての意見を公平に取り入れ万人受けを目指した結果、全く面白みのない空有ができるのだろう。途中のコラムでも空間全体の一貫したコンセプト=デザインコントロールが必要だと説かれている。デザイン性の高さと誘客や投資回収の相関関係は絶対にある。

 事例中でも特に、公僕視点で面白そうと感じたのは、京都市流山市の空き家バンクならぬ、公共用地バンク的なシステムです。行政が、公共用地の民間活用について窓口を明らかにしているのはすごく良い。本文にも語られているとおり、この先の公民連携の時代において、行政側が民間活力を受けるためには、まずもって情報をオープンにしないといけないと思う。公共用地の利用には、障壁が設けられすぎているので、こういうところから構造をシンプルにすることを始めないといけない。べつに、提案を受けても、気に入らなければ断ればいいのだし。

「既成概念を疑って、もっと自由に領域(公共空間)を再定義しよう」

 ちなみに我社の「あそべるとよたプロジェクト 公式Webサイト」の取組も掲載されているのですが、その界隈の元々の動きを全然知らないので、どういった経緯で掲載されることになったんでしょうか。知っている人いたら教えてください。

なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?

なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?

なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?

 小紫市長のフェイスブックで紹介されているのを拝見して、即入手した本。
 著者は、地方自治体を応援するメディア - Heroes of Local Governmentを立ち上げた方。取材を通じて出会った10人のトップランナー公務員が、これまでになし得てきたことを紹介しています。

 紹介されている方々は、いずれも(活動内容や活動の華やかさに差があるが)「市民のために」という信念を持って壁を突破されているなと、感じます。ただ「市民のために」はもちろんなのですが、その上で仕事をめちゃくちゃ「楽しんでいる」と思いました。楽しめる人は強い!

 どの方のエピソードも魅力的なのですが、特に印象に残ったのは酒井直人中野区長のエピソードで語られたこと。
「確かに公務員が失敗したら叩かれる。でも、本当はやらないことによる損害のほうがもっと大きい。」
「職員のモチベーションは、そのまま区政のパフォーマンスの良し悪しに直結する。これからの時代、役所は組織として、そこまで考える必要がある。」

 公務員という後ろ盾と、身分保障があるからこそ、地域に飛び出さなければ、何もなし得ない。というのは小紫市長もおっしゃっていたことです。

 モヤモヤすることがあれば、またこの本を読んで、セルフマネジメントしたいと思います。
 また、ぜひ思いを持つ若手は、この本を読んでほしいと思えました。

MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ

MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ

MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ

 お膝元で働いている身として、豊田社長の「生きるか死ぬか」はもちろん頭に入っていたのですが、どうにも実感を持っていなかったことを、この本を読んで反省しました。

 MaaSとは「マイカーという魅力的な移動手段と同等か、それ以上に魅力的なモビリティサービスを提供し、持続可能な社会を構築していこうという価値観やライフスタイルを創出していく概念」
 →もう少し言うと、各種ある移動手段(電車・バス・カーシェアなどなど・・・)をパッケージングして、ユーザーに提供することでマイカー以上のシームレスな移動を提供しよう!ということらしい。自動運転だとかもある意味このMaaSの1パーツにすぎない。

 MaaSが実現すれば、確かにマイカーがこれまでにもたらしてきた、負の側面を解決するかもしれない。例えば都市デザイン。マイカーありきのまちづくりは、駅前にロータリーをつくり、歩くには至難の広い道路をつくり、多くの土地を生産性の低い駐車場に充ててきてる。思えば自分も車所有者だけれど、ほとんど乗ってない。にも関わらず維持費用が年間でかなりの額を費やしている(今はローンが終わってだいぶ楽になりましたが)。マイカーって社会全体からみると全然エコじゃない。

 ところでMaaS、日本ではめちゃくちゃ遅れてるけど、世界ではどんどん進んでる。トヨタからすれば、マイカーをなくそうというムーブメントが世界中で起きているわけだから、ただ事ではない(ちなみにトヨタ自動車にとって、打ち上げの8割は海外輸出によるものなので、外国でマイカーが売れなくなるならば、それはまさに生きるか死ぬかの時代ですよね。)。

 じゃあ日本で何で遅いのかって話ですけど、やっぱり規制ガチガチなんだと思う。「やってみなはれ」のマインドがないというか。それから個人的イメージで恐縮ですが、意外と日本企業って利己主義的というか。業界のアライアンスがうまくいかないイメージ。

 でもMaaSは、今ある交通産業をまとめて、パッケージングしてユーザーに提供して、社会全体のベネフィットを向上しようという概念。民官がパブリックマインドを持って連携しないと、日本は本当に世界から遅れてしまいかねないですね。

 本については、ひとまずMaaSのコンセプトを理解するには十分な一冊かと思います。なお、事例紹介の章のみ、サービス名称等の固有名詞がたくさん出すぎてめちゃくちゃ読みづらかったです。

アウトプット大全・インプット大全

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

学び効率が最大化するインプット大全

学び効率が最大化するインプット大全

2作通じて、筆者の基本的な主張は「インプットのためには、アウトプットが必須」ということ。
いわゆるアクティブ・ラーニングなんかも、通ずるものがありそう。
自分で考えて、発信するという行為を経てようやく記憶や知識が定着する。

以下、備忘録メモ

①アウトプット前提でインプットすること
 ・感想を前提に本を読む(これもそう)
 ・意見を言う前提で講義を聞く
②緊張状態に身を置くこと
 ・「他人に説明できる」感想をSNSにアップする
 ・最前列で講義を聞く
③インプットと目標設定はセットで
 ・インプットの前になぜインプットするのかを考える

その他 へ~って思ったこと・・・(ネタバレですかね?)
 ・記憶力は紙の本のほうが有利、なので勉強のための本は紙のほうが良い
 ・セミナーなどの生で聞く行為は非言語情報を得ることのほうに注力したほうがいいので、メモはどうしても重要な気付きを得たときにする程度で良い。
 
科学的な根拠も(平易に)述べられていて、説得力がありました。とりあえず①でしょうか。
感想でもいいので、こうやって記録して記憶に留めないと、思います。

10年で激変する!「公務員の未来」予想図

10年で激変する! 「公務員の未来」予想図

10年で激変する! 「公務員の未来」予想図

先進的な取組で注目される奈良県生駒市の小紫市長の著書。
これまでの公務員の業界で「当たり前」に思われていることは、数年のうちに当たり前じゃなくなる。

〔個人的なメモ(本文からの引用)〕
 ・公務員という仕事を、未来を担う子どもたちのあこがれの職業にする義務と責任と楽しみが、私たち現役の公務員にはある。
 ・公務員は制度的に安定した地位を保障されているからこそ、それを土台に新しい挑戦をし、現場に飛び出して、地域を活性化していく使命がある。
 ・安定だけを求めて公務員になるような職員は、地域には不必要。
 ・法律に明確に禁止されていなかったら挑戦すれば良い。
 ・リーダーシップは「始動力」

公務員は、今までのようなただ組織の1歯車となるのではなく、個人として戦える職員であることが必要です。
むしろそうやって、コトを起こして楽しんでいる職員のほうがイキイキとしていて、成果も伴うと思います。

自分もまだ何を為せるかわかりませんが、何か小さくともコトを起こしてみたいなと思っている次第・・・。

KP法 シンプルに伝える紙芝居プレゼンテーション

前回のエントリでも書きましたけど、伝えることって本当に難しい。
ということで、ついつい方法論的な本も読んでしまいます。

KP法がなんなのかは、本を読んでください。

作者曰く、「言ったら伝わるは伝える側の傲慢である」「たくさん伝えて満足するのは伝えた側になりがち」・・・あるあるです。ぐさりときます。
肝心のKP法そのものについては、現状使うべき場面が想定できなかったのですが・・・むしろ、ワークショップのグループ発表をKP法で実施させるという手法のほうが、使える場面が多いかも。ここ最近、ワークショップを企画することが多いので。

今後気をつけたい点を挙げておくと、以下の2点。

①「ひとつひとつのことばを大事にする、間合いをうまく使う」
→自分、早口でしゃべりがちなので、気をつけないと・・・。

②「ことばを可視化する」
→KP法に限らず、ファシリテーション・グラフィックなんかでもそうだと思うのですが、可視化すると議論が一気に深まります。意外と人間、会議中にどんな話題が出たか、事細かには、しっかり覚えていないものですもんね・・・。何かと可視化する手段を考えておいたほうがいい。

バカの壁

バカの壁 (新潮新書)

バカの壁 (新潮新書)

再読の本。以前は読解力が追いつかない部分があり、自分の能力に落ちこんだり。

与えられた情報は、受け取り手によって係数がかかり異なった認識を与えてしまう。
その人が興味が無いことは、係数0がかかるので理解すら進まないのですね。
だから言ったら伝わる、話せばわかるは通じない理屈。

で、そこに壁があると。

壁を超えたければ、自分の認識に一元的にとらわれてはいけない。
二元論(はたまた、現代においてはもはや多元論かもしれない。15年ほど前の本なので。)の発想を基に、相手のことを考えなければならない、といったことでしょうか。

結論を導くにあたって使われた「個性を求める学校の矛盾」「意識と無意識」「肉体と脳」といった話題もなるほどと思わせる部分があり、改めて面白かった。

思考の整理学・アイディアのレッスン(2)

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

以前は職場内外を問わず、「意見交換会」「交流会」の類の意義がわかりませんでした。

何がきっかけか忘れてしまったけれど、最近は積極的に参加するようにしています。
確実に何かが得られるとわかっていなくても良いんです。

思考の整理学には、「垣根を超える」ことの大切さが述べられていて、様々な考え方に触れたいというこの気持ちは間違いではないようです。
まずは、いろいろ話を聞く、そこが目的でいいじゃないか。一人で書斎に籠もったってアイディアは出てこない。結果(アイディア)はあとから付いてくる、と思います。

書籍では、全く別の業界同士で垣根を超えることがメインに述べられていました。確かに専門家同士で話し合うと得意気に語り合っていい気分になって終わりになりがちのような気がする。そういう意味で、異業種交流会というのも面白い。でも、参加者が意義をしっかり理解していれば別に同じ業界だっていいわけで。

今の所属する業界は、同じ目的を、様々なプレーヤーがそれぞれのやり方で実施している。するとよく情報交換が大事だ、と言われる。本当にそうだと思います。
どうしても「集まる時間がないから」「目的がよくわからない」といわれがち。もちろん企画をする側のしかけかた、ファシリテーションも重要だけれど。

垣根を超えることをめんどうに思うのは、非常にもったいないのだと思います。

思考の整理学・アイディアのレッスン

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

アイディアのレッスン (ちくま文庫)

アイディアのレッスン (ちくま文庫)

外山先生の「思考の整理学」「アイディアのレッスン」を読んでいます。
中日の根尾くんの愛読書として話題になりましたね。

「アイディアのレッスン」から読んでしまったのですが、順序的には逆のほうがよく、「アイディア~」は「思考の整理学」をより整理した内容といったようすです。

我々日本人は、知識を詰める=頭を倉庫として使う教育しか施されておらず、どう知識を使うか、どうアイディアを出すかを学んでいないらしい。
現代はPCがあるので、知識の倉庫としての役割はPCに譲ったほうがいい、という(思考の整理学は1986年に出版されたものですが、当時、世間一般的にどの程度PCの有用性が認識されていたのでしょうか)。

ホリエモンだったかが、現代は「調べる力が求められる時代」的なことを言っていたように記憶しています。
なんでもかんでもインターネットで調べることはいかがなものかと言われる(最近はそこまででもないように思いますが)こともあるでしょうが、真に必要なことは、何を覚えているかではなく、どう使うか。

本当に頭が良い人というのは、知識をたくさん抱えた人ではなく、日頃の思いつきを、結実させることができる人なのだと思います。