shibadog-john.hatenablog.com
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これまで既に何冊か、行動経済学やナッジ等について言及する書籍に触れてきたところだが、「行動経済学の基礎知識から主要理論までを網羅、体系化した(※:筆者によるまとめであり、行動経済学全体でコンセンサスを得られた体系ではないことに留意)」という本書の触れ込みに惹かれ、知識の重複があるかもとは思いながら、思わず購入。行動経済学は、極めずとも教養として知っておくと良いと思っているが、その理論を概観・まとめることができ、とても有用であった。
特にシステム1のくだりが、最も新たな知見として得られた部分だ。書籍で言及されているとおりだが、わたしたちは普段ビジネスの現場で、消費者などの相手方をシステム2で考え(=むやみに理屈だてて)その行動を表現しようとしてしまう。しかし実際の消費者システム1で直感的に物事を選んでいる(自分自身の日々の生活を考えてみればそうだろう)。特にtoCに関しては、もっとユーザー視点に立り、自分がユーザー視点だったらどう直感的にどう感じるだろうか、という視点を持ちうることが重要だろう。
以下、自分用メモというかチートシート。
1 認知のクセ
◯システム1とシステム2
・人間の脳は、直感的に考えるシステム1と注意深く考えるシステム2のモードがある。
・システム1があるのは、意思決定のスピードを省力化・迅速化するため。
・ただし直感的であるため、非合理な意思決定をすることもある。
・仕事に慣れてきたころミスが増えるのはシステム1で判断するようになっているから。
・非流暢性をあえてつくることで、システム1を意図的に排除できる。
(1)メンタルアカウンティング
・人はどうお金を使うかによって、同額でも感じ方が異なる。サンクコストが代表例。
(2)自制バイアス
・自分には自制心があると過大評価する傾向。
・誘惑に負けないとするより、仕組みで対処することのほうが大切。
(3)ホットハンド効果
・ある事象が連続して起こると、次もそれが起こると思い込む傾向
(4)フットインザドア
・物事をお願いするときは、小さなお願いから始めることが効果的
(5)確証バイアス
・何かを思い込んだら、それを証明するものばかり意図的に集めてしまう傾向
(6)真理の錯誤効果
・ありえないと思うことでも繰り返し見聞きすることで、信じてしまう傾向
(7)双曲割引モデル
・遠い将来のことになるほど時間の差が気にならなくなる傾向。
(8)解釈レベル理論
・「今」に近いほど具体的に、「未来」であるほど抽象的に考える傾向
(9)計画の誤謬
・あらゆる計画は甘い見積もりになってしまう傾向
(10)デュレーション・ヒューリスティック
・サービスの内容よりもかかった時間で評価してしまう傾向
2 状況
◯人は状況によって決定させられる
(1)系列位置効果
・人は順番によって記憶の定着度合いが変わる
・初頭効果と親近効果によって最初と最後が残りやすい
(2)過剰正当化効果
・内発的動機で取り組んでいたところに外発的動機を用意されるとモチベーションが下がる。
(3)情報オーバーロード
・多すぎる情報は、人を疲れさせる。
・パフォーマンスを下げるだけでなく、心理的・身体的病気にもつながりうる。
(4)選択オーバーロード
・人間は選択肢が多いこと自体は好むのだが、選択肢が多いと、選べなくなってしまう。
・デフォルトをつくったり、デシジョンツリーなどでの対応するなどの取組が有効。
(5)プライミング効果
・色、音楽、といった刺激によって行動が変容する。
ex 強く前向きなことばを発すると部下のパフォーマンスが上がる。
(6)フレーミング効果/プロスペクト理論
・何を強調して表現するかによって受け手の行動が変わる。
ex 100人中20人が当たる or 100人中80人は外れる
⇒人は得るものを強調されると、確実性を求めリスクを避ける
⇒逆に損失を強調されると、リスクをとるようになる
(7)並列評価/おとり効果
・誰も選ばない選択肢をつくり、並列評価させて選ばせたい選択肢を選択させる
(8)アンカリング効果
・最初に提示された内容が基準になり、その後の判断が非合理に歪む。
ただし、精通しているものには効果はない
(9)パワーオブビコーズ
・人にお願いするとき、なんでもいいから理由をつければ受け入れてもらえる可能性が高まる。
ただし、小さなお願いごとに限る。
(10)感情移入ギャップ
・未来の自分を理想化してしまう傾向
3 感情
◯アフェクト
・一瞬よぎる言語化しえない微妙な感情の揺れ動きが「アフェクト」
・人間は「アフェクト」を近道に、システム1で意思決定する
・アフェクトはこれまでの人生経験の中で培われる。
◯不確実性・コントロール感
・自分で決定できない状態や、先が読めない状態は人間にとってストレス。
・人間は実際に悪いかどうかではなく、悪い結果になるかもと確定していない状態
のほうがストレスを感じる傾向
(1)拡張・形成理論
・ポジティブな感情は、視野や思考の幅を広め、能力・活力・意欲を高める。
・身体や心の不調を整えるばかりか、レジリエンスも高まる。
(2)心理的所有感
・自分のものだと思うことにより行動が変わる。
ex 組織にコミットしている人間のほうがパフォーマンスが高い。
(3)保有効果
・自分が所有しているものは、価値を高く見積もる傾向。
(4)認知的再評価
・自分のアフェクトに目を向け、捉え直すことで役立てることができる。
・ネガティブ感情は抑え込もうとすると逆効果で、ポジティブに捉え直したほうが効果的。
・ただし、ネガティブ感情もほどよいプレッシャーならプラス効果。
(5)キャッシュレス効果
・キャッシュレスは、お金を使う痛みが薄いため散財しがち。
(6)目標勾配効果
exポイントカード
・こんなに集めた、というポジティブなアフェクトを生み出す仕組み。
(7)境界効果
・自分以外にコントロールされていると強く感じている人には、
囲み枠などの境界のあるパッケージが有効。