先のエントリでも言及したが、割と抽象度の高い概念をたたかわせるような仕事をしている。それもあって、どうも議論している者同士での認識合わせからうまくいかないことが多い。なんとかして双方向に伝える・伝わる環境をつくれないかと、タイトルだけであまり調べずに購入。
言語化のhow toテクニック集を(自分が勝手に)期待して購入したのだが、言語化に向けた考え方が整理されている本、が正確である。
まず筆者は、言語化の法則として「PIDA」を提唱している。
Purpose 目的の整理:なんのために言語化するのかを考える
Item 項目の選定:何を伝えれば言語化できるのかを考える
Define 項目の定義:項目の意味を定義する
Apply 当てはめる:意図に合う表現を使う
具体例に当てはめると
P 商品を買ってもらう
I 品質の高さを言語化する
D 品質が高いとは壊れにくいということ
A 故障率◯%
こうして言語化されることで、相手が認識していなかったその項目の価値を浮かび上がらせる、それが言語化であるという。
また、ビジネスにおけるItemの考え方には以下の5ステップが提案されている。
①提供する価値
⇒導入することでどのような変化を得られるのか
〃 どのような感情になれるのか
それにどのようなこだわりがあるのか
②他者との差別化
⇒他者では実現できない目的が達せられる
③自社の信頼性
⇒これまでの実績
⇒価値を提供したい理由・ストーリー
④価値が提供されるプロセス
⑤相手にとってもらいたい行動
最後に、言語化のためにはことばの「定義」が重要であると解説される。日常に使用される言葉・キーワードたちの多くがあいまいなまままかりとおっている。この点は確かに、自分自身の仕事に立ち返ってみたとき、忙しさにかまけてなかなか定義付けをせぬままに走っている場面が多くあると思い、反省した点である。
総じると、筆者の主張として言語化とは、「どう(how)伝えるかではなく、何を(wthat)伝えるか」であると説いている。ようは言語化の意図や、伝えるべき相手、伝えるべき項目を5W1Hで考えろ、ということであろう。おっしゃるとおりなのだが、ある意味当たり前のことを言っているようにも感じた。理屈はわかるのだが、実践できるかはまた別問題、というような気もする。