- 作者:堀 公俊
- 発売日: 2018/08/11
- メディア: 新書
まちづくりに関わる者として必須スキルだと思う。ところがその存在が、認知されているようでされていないようにも思う。VUCA社会である現代において、人々の意見は様々。まさに前エントリ「入門 公共政策学」における、総合性・相反性・主観性・動態性が作用するからだ。その中で、ファシリテーションにかかる期待は大きいと思う。
私自身は、既に以下に紹介するような何冊かを拝読しているので、この本の内容全てに、真新しさを感じたわけではない。むしろ、一種の得意分野として息抜き的に読んでみようと思った次第である。なるほど新書として、簡潔にまとめられている。ファシリテーションについて知りたければまずこの本から読み、続いて以下の3冊に移行していくのが良いだろう。以下の本では、新書内では恐らく紙面の都合上紹介しきなかったのであろう図表など、視覚的な情報が、網羅的にまとめられている。
⇒ワークショップの企画立案方法 ⇒板書と板書を活用した、場面の促し方の技法ファシリテーション・・グラフィックは誰でもできるのでおすすめ。 ⇒参加者に対する論理的なアプローチ方法
この本が一番汎用性が高いが、一番むずかしい。 ⇒上記3冊を読んだあとに。ポケッタブルとして使える。
- 作者:堀 公俊
- 発売日: 2013/08/09
- メディア: 新書
さて、本題の新書では、ファシリテーションには4つのスキルがあると述べられている。この4つの構造を理解することがファシリテーションがなんたるかを理解する第一歩として必要だ。
①場のデザインスキル
②対人スキル
③構造化のスキル
④合意形成のスキル
多くのファシリテーションってなんとなく知っている、という人からすると、だいたい②や③の”会議・会合の現場における進行方法”というイメージで語られがちだが、それは一方で正しくない。会議・会合をどのように企画し、どのような人を集めるか(①)から既にファシリテーションは始まっている。話し合いの流れ全体をみるマクロな視点が必要なのである。
私自身はずっと、ファシリテーターシップを人々が1%でも習得すれば、日本の話し合いは劇的に良くなるのではと思っている。カリスマファシリテーターが1人いたとしても、1億2000万人の対話を促せるわけではない。限界があるからである。ファシリテーションの多くは現場スキルであって、知っていてもやらなければ身につかない、場数がモノを言う。しかし、ファシリテーターのものの考え方を知っているだけでも、会議・会合の参加者1人ひとりのふるまい方が改善されるものだと思っている。
以下メモ
○社会系ファシリテーションに、正解はない。いかに合意の質と納得感を高めるかが重要。
仲良しクラブでは成果がでない、厳しいマネジメントでは人が去る。
○日本の会議に蔓延る同調圧力と属人傾向をいかに排除できるか。
○苦手な相手でも「良い点を見つけてやろう」という視点で。
○意にそぐわない人を見ると、本人のやる気や性格の問題にしがちだが、本当にそうか?
○本当に大切なことは休憩時間に語られる。
○仮定質問・強制質問・リレー質問
○フレームワークを使った決定は、一見合理的のように思えるがそうでないパターンもある。
バイアスを防ぐことはできないので、圧倒的評価差がでないときに機械的決定は危険。
○相手のメッセージだけではなく、ニーズを見つけるように努める。