よんだほん

本の内容をすぐ忘れちゃうので、記録しておくところです。アフィリエイトやってません。念のため。

公務員の人材流動化がこの国を劇的に変える―奇跡を起こす「5つの急所」

 研修でお世話になった山中先生の本。

 行政改革には、人事改革が必須だと思う。人材流動化は必須。人材流動化というのは労働の市場主義化ともいえるかもしれない。

 アフターコロナで、より個人のパーソナルな能力が試される時代だと思う。(本書自体は10年ほど前に執筆されたものであるので、執筆当時よりもすでに進んでいる部分もあると思うが)年功序列で、終身雇用なんて時代は、すでに言われているけどもう遅い。公務員もそう。生駒市なんかがいい例だ。採用パンフで終身雇用は保証しないと言っているし(すごい)、必要に応じて民間からプロフェッショナル人材の登用を行っている。どこの自治体もそうなるべきだと思う。ほぼプロパーという日本の公務員文化がおかしい。

 さて、公民間の人材流動化がもたらすメリットとして、本書に数ある主張のうち良いなと思ったのは、「官民の遠慮が減る」という点だ。

自分の会社の同僚が、元官僚であったり、元県庁職員だったりすると、役所との距離感は縮まります。

従来は、役所というとよくわからない世界だったのです。(中略)役所は、何となくよくわからないから、あまり関わらないようにしようという思考です。

 この話を聞いて思い浮かべたのは「市民と行政の相互信頼が高い」と「行政パフォーマンスが高くなる」というアメリカの社会学者パットナムの主張だ。

 本来政治というのは、国民1人1人のもののはず。高度経済成長期に、ナショナル・ミニマムを目指し肥大化する行政に対して国民が自治を丸投げし、公務員の閉じた世界観を構築しすぎたことが、絶望的な公民間の理解不足を生んでしまったと思う(私自身も「もっと役所の人って固い人だと思っていた」と言われたことが何度かある)。政策に対する感情的な批判を抑え、冷静かつロジカルな対話ができる関係を構築するには、相互理解が必要だ。もっとかんたんに言えば(むちゃくちゃに言うと)公は顔をさらけ出して、自信を持って、いろんな人たちと利害無視で友達になればいい。

 それから話が変わるが、私自身が思う公務員の弱みは、「自分自身はプレイヤーでない/プレイヤーとしての実績が無い」ことだと思う。どれだけ素晴らしい政策を作っても、結局やるのは民だったりする。民からすれば、「やったこともないやつが机上で考えた案をリスクを抱えてやるのは我々か。」となるに決まっている。そういう意味でも民間経験者の公への登用は必要だと思う。